ギスブラック 「しまった!ペッパーが!」
ギスホワイト「くっ!」
ギスブラック 「ギスホワイト、あんた・・・・!?」
*****************************
エレクトラは内心苛立っていた。この状況にも、司令部のふがいなさにも。元々エレクトラもグランディスも戦闘隊員としてはかなり上位であるため、雑魚の排
除のために呼びつけられることは少ない。主にガーゴイルクラスの敵を撃破するために召集されるのだ。今回もガーゴイルが出てきたと聞かされ駆けつけてみれ
ば、なんてことはない。此処にいるのは仮面を被ったスーツ姿の女と、いつもとは毛色の違うタキシード姿の仮面の取り巻きたちだった。
とはいえ、油断は大敵だ。雑魚だと思っていては、その慢心が足元を掬うこともあるとエレクトラは自分自身に釘をさした。
もっとも、横にいる黒いドレスに身を包んだパートナーはあからさまに面倒くさそうな顔をしているが。
「なぁーんでガーゴイルがいないんだよ、あんのヘタレ司令部!」
「ふふ、貴女達の相手をしているほど、ガーゴイル様はお暇でないのよ。」
「アタシらだってあんたらみたいな雑魚を相手してる暇なんてないね。」
やはり、とエレクトラはポーカーフェイスを崩さぬまま心の中で頭を抱えた。このパートナーは慢心の渦中にいる。こんなときほど痛い目に合うのだと歴史は教訓を残してきているが、きっとグランディスはそんなこと知ったこっちゃないと跳ね除けてしまうだろう。
「お喋りが過ぎますわよ、ギスブラック。早く倒して帰りましょう。」
「言われなくても解ってるよ。あんたもさっさとおし!」
エ レクトラはその白い衣装から忍ばせていたナイフを仮面の女に投げつける。かなりの速度で放物線を描く間もないままその刃先は女を餌食にするはずだった。し かし、女に到達するほんの一瞬前に何かが横切りナイフの進路を反らし、むなしくも床に叩きつけられる金属音だけが響いた。
「なっ?!」
「ちゃんと狙いな、このスットコドッコイ!」
「狙いましたわっ!」
軌道は女をしっかりと捉えていたのだ。だのに役を果たせなかったナイフは床へ転がっている。
「ふふふふふ。貴女達って本当に仲が悪いんですのね。」
「お前には関係ないよ。なりたいとも思わないしね。」
「まぁ、仲間割れしていただけるならこちらとしては願ってもないことですわ。」
ガー ゴイルに似た厭らしい含み笑いを洩らす女の手には、先ほどまでなかった鞭が握られている。これで払い落したのかと思うと合点がいった。その武器から察する に、相手のリーチはかなりある。そのため、接近するのは困難だが、一度懐に入ってしまえばこちらのもの。問題はその懐にどうやって入るかだ。エレクトラが 思案していると視界の横から勢いよく敵勢に飛び出していくグランディスが目に入った。
「ちょっとギスブラック!」
「ふん、こういうときはこれが一番なんだよ!」
グランディスは徐に胸元へ手を突っ込むと小瓶を取り出した。
「ダイレクトペッパー…!?」
「おっと、それは使わせませんわよ。」
グランディスが蓋を開けるより早く、女の鞭が小瓶を叩(はた)き落とす。無情にも床の小瓶は鞭の射程範囲内へと転がっていく。その他にもタキシードの仮面男たちはそれぞれに武装し、その銃口をグランディスへ向けている。その様子に、エレクトラは何も考えず走り出していた。
「くっ!」
「ギスホワイト、あんた…!」
エレクトラに向かっていくつもの銃口が火をふく。その一発が彼女の頬を掠めるも、足を止めることなく果敢に小瓶を拾い上げ、グランディスへ投げ渡した。
「きちんと、決めていただかないと!」
「悪かったね!……ありがとさんっ」
しっかり瓶を受け取ったグランディスは間髪入れずに蓋を開け、中身をばらまく。いつものようにどれだけ詰まっていたのか分からなくなるほどの胡椒が飛び出し、敵勢を包む。
が、以前のようにくしゃみをする者もいなければ、目がどうこうだと騒ぐ者もいない。
「…そう何度も同じ手にかかると思っていますの?滑稽ですわね。」
「じゃあこれはどうかしら?」
不敵に微笑むエレクトラの手には、火のついたライターが握られていた。
「!!?」
「ギスブラック、伏せて!!」
叫ぶとエレクトラはそのライターを胡椒の舞う空間に投げ込む。敵勢は慌てて逃げようとするも時すでに遅し、大きな爆発音が辺りにこだました。
****
「粉塵爆発とは、あんたもやるじゃないか。」
帰りの車内で、珍しくグランディスがエレクトラを褒めた。あの量の胡椒だ、爆発の規模もそれなりだった。
「ただの胡椒ではいつか対処されてしまうと思っていましたから。」
「へぇ…。しかしもっと穏便にできなかったのかねぇ、一張羅が台無しだよ。」
服はボロボロに破け、たわわに実ったその胸やくびれた腹部が露になっている自身を見て、苦言を呈す。エレクトラも似たようなもので、来た時よりもその露出部分はかなり増えていた。エレクトラは言い返す言葉もなく、帰路をただ急ぐのだった。
とはいえ、油断は大敵だ。雑魚だと思っていては、その慢心が足元を掬うこともあるとエレクトラは自分自身に釘をさした。
もっとも、横にいる黒いドレスに身を包んだパートナーはあからさまに面倒くさそうな顔をしているが。
「なぁーんでガーゴイルがいないんだよ、あんのヘタレ司令部!」
「ふふ、貴女達の相手をしているほど、ガーゴイル様はお暇でないのよ。」
「アタシらだってあんたらみたいな雑魚を相手してる暇なんてないね。」
やはり、とエレクトラはポーカーフェイスを崩さぬまま心の中で頭を抱えた。このパートナーは慢心の渦中にいる。こんなときほど痛い目に合うのだと歴史は教訓を残してきているが、きっとグランディスはそんなこと知ったこっちゃないと跳ね除けてしまうだろう。
「お喋りが過ぎますわよ、ギスブラック。早く倒して帰りましょう。」
「言われなくても解ってるよ。あんたもさっさとおし!」
エ レクトラはその白い衣装から忍ばせていたナイフを仮面の女に投げつける。かなりの速度で放物線を描く間もないままその刃先は女を餌食にするはずだった。し かし、女に到達するほんの一瞬前に何かが横切りナイフの進路を反らし、むなしくも床に叩きつけられる金属音だけが響いた。
「なっ?!」
「ちゃんと狙いな、このスットコドッコイ!」
「狙いましたわっ!」
軌道は女をしっかりと捉えていたのだ。だのに役を果たせなかったナイフは床へ転がっている。
「ふふふふふ。貴女達って本当に仲が悪いんですのね。」
「お前には関係ないよ。なりたいとも思わないしね。」
「まぁ、仲間割れしていただけるならこちらとしては願ってもないことですわ。」
ガー ゴイルに似た厭らしい含み笑いを洩らす女の手には、先ほどまでなかった鞭が握られている。これで払い落したのかと思うと合点がいった。その武器から察する に、相手のリーチはかなりある。そのため、接近するのは困難だが、一度懐に入ってしまえばこちらのもの。問題はその懐にどうやって入るかだ。エレクトラが 思案していると視界の横から勢いよく敵勢に飛び出していくグランディスが目に入った。
「ちょっとギスブラック!」
「ふん、こういうときはこれが一番なんだよ!」
グランディスは徐に胸元へ手を突っ込むと小瓶を取り出した。
「ダイレクトペッパー…!?」
「おっと、それは使わせませんわよ。」
グランディスが蓋を開けるより早く、女の鞭が小瓶を叩(はた)き落とす。無情にも床の小瓶は鞭の射程範囲内へと転がっていく。その他にもタキシードの仮面男たちはそれぞれに武装し、その銃口をグランディスへ向けている。その様子に、エレクトラは何も考えず走り出していた。
「くっ!」
「ギスホワイト、あんた…!」
エレクトラに向かっていくつもの銃口が火をふく。その一発が彼女の頬を掠めるも、足を止めることなく果敢に小瓶を拾い上げ、グランディスへ投げ渡した。
「きちんと、決めていただかないと!」
「悪かったね!……ありがとさんっ」
しっかり瓶を受け取ったグランディスは間髪入れずに蓋を開け、中身をばらまく。いつものようにどれだけ詰まっていたのか分からなくなるほどの胡椒が飛び出し、敵勢を包む。
が、以前のようにくしゃみをする者もいなければ、目がどうこうだと騒ぐ者もいない。
「…そう何度も同じ手にかかると思っていますの?滑稽ですわね。」
「じゃあこれはどうかしら?」
不敵に微笑むエレクトラの手には、火のついたライターが握られていた。
「!!?」
「ギスブラック、伏せて!!」
叫ぶとエレクトラはそのライターを胡椒の舞う空間に投げ込む。敵勢は慌てて逃げようとするも時すでに遅し、大きな爆発音が辺りにこだました。
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「粉塵爆発とは、あんたもやるじゃないか。」
帰りの車内で、珍しくグランディスがエレクトラを褒めた。あの量の胡椒だ、爆発の規模もそれなりだった。
「ただの胡椒ではいつか対処されてしまうと思っていましたから。」
「へぇ…。しかしもっと穏便にできなかったのかねぇ、一張羅が台無しだよ。」
服はボロボロに破け、たわわに実ったその胸やくびれた腹部が露になっている自身を見て、苦言を呈す。エレクトラも似たようなもので、来た時よりもその露出部分はかなり増えていた。エレクトラは言い返す言葉もなく、帰路をただ急ぐのだった。
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